【レポート】 現場の IT リーダーが語る、クラウドファースト化で検討すべきはじめの一歩 #AWSSummit
かみとです。
9/8〜9/30まで開催中の AWS Summit Online も残りあと僅かですね! みなさん楽しんでますでしょうか?
本記事は、オンデマンドセッション「現場のIT リーダーが語る、クラウドファースト化で検討すべきはじめの一歩」のセッションレポートです。
現場を預かるITリーダー達がいかにして既存のシステム構成からクラウドに移行し活用するに至ったかを、3社のパネリストの方たちがリレー形式で登壇していくという、1セッションで3度おいしい感じのセッションでした。
セッション概要
スピーカー
- 株式会社ホリプロ 総務部 情報システムグループ チームリーダー 柾田 和哲 氏
- 株式会社 GABA IT 部門 シニアマネジャー 池田 晶子 氏
- 株式会社アミューズ コーポレートソリューショングループ 情報システム部 部長 清水 邦夫 氏
- アマゾン ウェブ サービス ジャパン株式会社 ストラテジックアカウント営業本部 部長 木村 亮 氏
概要
社内の IT リソースをクラウドファーストで推進する際につまづきがちな課題や社内における合意形成から IT ベンダー、AWS とのコミュニケーション方法などのベストプラクティスを各社の IT リーダーズにご紹介頂きます。
各社のクラウド利用歴ときっかけ
- AWS利用歴は1年〜7年と様々ですが、多くはオンプレで運用していたものが保守切れになったり、期間システムのリニューアル、オンプレミスだと運用に耐えられなくなってきた、という理由が多いようです。
社内システムのクラウド化、はじめの一歩 【ホリプロの場合】
- ホリプロはタレントマネジメントを中心に、様々なコンテンツを展開する芸能事務所
- 社内の基幹システム、グループウェア、外部向けwebサイト管理運営などを、少ないITリソースの中で行ってきた
導入経緯
- 2013年に社内システムのサーバーのサポート切れが一斉に迫る中、前年の2012年から検討を開始
- ハードウェア保守、ミドルウェアのパッチ当ても全部自前で行っていた
- SaaSグループウェアを使用していたので、外部サービスへの抵抗がなかった
- クラウドの使用に抵抗のある会社の場合は、SaaSの利用から始めるのも一つの方法
- クラウドに対する期待値
- ベンダーロックを回避したかった
- 費用削減
- 運用負担の軽減
- AWSならクリアできるとして導入に至る
- 着手から10ヶ月で移行完了
- 社内のITリソースが少ない中、社外のビジネスパートナーの選定がとても重要だった
AWS化の流れ1
- ビジネスパートナーを選定するのが第一歩
- 社内にITメンバーが少なく、内製はできない
- ビジネスパートナーを選定するにあたり重視した部分
- 導入実績があること
- ベンダーフリーであること
- ベンダーロックを避けたかった
- 運用保守を含め、継続的アドバイスと支援をしてもらえること
- 回線業者とのリレーションがある業者が望ましい
- 障害解析をスムーズにしたかった
AWS化の流れ2
- パートナーに丸投げせず、自分でも手を動かすこと
- 従量課金のコスト感覚を構築できる
- 社内への影響の少ないシステムから部分的にクラウド化しながら、最終的に重要なシステムの移行に耐えられるかを検証しながら進める。
- 万が一クラウドに移行できなくても良いくらいの気持ちが大事
AWS化の流れ3
- ステージング・開発環境を準備しておき、使わない時はインスタンスを停止
- これができるのがAWSの最大のメリットの一つ
- バックアップも同様
- 海外リージョンに分散
最後に〜雑感と今後の展望〜
- 新サービスを定期的にキャッチアップしてインスタンスタイプの見直しを行う
- 今後はAIやリモートワーク関連のサービスを試行を検討中
- 過度な期待は禁物
株式会社GABA クラウド化はじめの一歩
- 個人向け、法人向け英会話サービス提供する事業を展開
現状
- オンプレで基幹システムを構築
- クラウド化の必要性は理解しているものの、常時プロジェクトが稼働しており、着手のタイミングが難しい
- 密結合によりコード変更にかかるオーバーヘッドが大きく、マイクロサービス化などを検討しているが、機能の切り離しが難しい
取り組み
- 「クライアント向けシステムの将来像」と「社員向けシステムの将来像」をIT部門で起案
- Client向けの将来像
- 顧客体験の向上
- API活用、パーソナライズされた機能など
- 社員向け
- エンゲージメントの向上
- 作業環境の提供
- Client向けの将来像
- 経営層への継続提案
- それぞれの将来像に基づき、2~3年のロードマップを作成
Gaba onlineをリリース
- オンラインのレッスンとオフラインとをシームレスに提供
- 既存業務を含めて見直しを行った
社内コールセンター
- 在宅環境の構築に向けて、社内コールセンターのPoCを実施した
- スタッフの安全を確保しつつ業務を継続することが可能になった
- 環境構築から3日で社内にアナウンスができた
今後の展望
- ビジネスの優先順位にあわせた施策を適時調整していく
- 徐々にクラウドネイティブ化していく
- 慎重にすすめるべきものと、動かしながら考えるものとを住み分ける
株式会社アミューズ
- アーティストのマネジメント、総合エンターテイメント事業として様々なチャレンジ
クラウド整備のスタート地点
- オンプレ型で整備してきた、
- 割高なイメージ-->実際は違った
- 新しい提案が次々上がってくるものにスピード感が必要
クラウド整備状況
- レガシーシステムをクラウド化
- 意外にすぐ終わった
- 予想1年--->実績3ヶ月
- 余ったリソースを他の業務に利用できた
- 約80%がクラウド化
- コロナ渦におけるリモートワークに貢献できた
今後の課題とDX検討
- DX検討
- デジタル化による新規ビジネスの創出
- AWS構成の見直し
- 過去、優先順位に基づきシステムを積み上げながら構築してきたが、AWSの全体的な構成を見直す必要がありそう
- レガシーシステムのリプレイス
- リモートワークを今後更に最適化へ
- オンプレからクラウドへの移行をきっかけに、資産非保有型の情報システム運用へ
まとめ
3社の事例紹介から、クラウド移行に向けての第一歩についての心得をサマリー
- コストはトータルで考える!
- 月額が割高と考えている場合はここに注意
- スモールスタートでOK!
- 数時間で試せる
- ユースケースに合わせた選択を!
- Saasで十分な場合もある
- 不明点はAWSの担当にご相談を!
感想
ここからは、このセッションへの自分の個人的な感想です。
- DXの施策としてSaaSを導入するパターンは費用効率もよくて、かつオンプレミスをAWSに移行する足がかりとして有用だと思うので、クラウド移行に対して抵抗がある場合はこういう提案方法も良いなと思った。
- レガシーな仕組みを一気に変えるのはいろいろ難しいので、少しずつストラングラーパターンで進めていくのがやはりベストプラクティスだなと思った。
- その上でじっくり進める部分と、スピード感を持って進める部分とでメリハリをつけて対応するというのはとても参考になった。
- 前任者から引き継いだレガシーシステムと言うのはカーゴ・カルトになりやすいので、そこをいかに新しい仕組みに変えていくのかというのは誰しも頭を悩ませる部分なだけに、こういったITリーダーの姿にはとても勇気づけられる。
以上、イベントレポートでした!